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2024年版の画像解説

 

ポスター:ジェームス・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)がとらえた「創造の柱」と名付けられたわし星雲(M16)のすがた。わし星雲はへび座の尾部にある。ガス状の物質が柱のような構造を作っている。1995年にハッブル宇宙望遠鏡(HST)が撮影して有名になった。

 今回、JWSTの透過力の強い赤外線による観測で、HSTの画像よりガスの中により多くの星が見えている。

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1月:カメレオン座の分子雲。カメレオン座は天の南極付近にあり、日本からは見られない。分子雲は星間物質の濃いところで、原子が多く集まって分子を形成している。そこで新しい星が誕生しているとみられるが、くわしいことはよくわかっていない。

 未知の部分が多い領域である。

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2月:暗黒星雲L1527の原始星。砂時計のような構造は、原子雲が反対方向にジェットを吹きだしているところ。生まれたばかりの星は、周囲を円盤状のガスが取り巻き、そこから上下にジェットが吹き出すと考えられる。そのくわしいメカニズムは今盛んに研究されている。この原始星はおうし座の暗黒星雲の中にある。

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3月:惑星状星雲NGC3132.。南天のほ座にある網状に広がった星雲が、宇宙に浮かんでいる。ほ座はかつてアルゴ船の一部で、となりにりゅうこつ座やとも座がある。惑星状星雲は、太陽くらいの質量の恒星が迎える最後の姿と考えられている。ガスの繊細な広がりが見える、JWSTならではの画像。

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4月:カリーナ星雲のNGC3324。色合いがへび座の想像の柱と似ているが、まったく別のりゅうこつ座にある分子雲。画像の外の大質量星からの紫外線によって光っている。ガスの細やかな姿は雲海を見ているよう。NGCはニュー・ゼネラル・カタログ(新一般星表)の略で、8000個ほどの星雲・星団を赤経順に整理した大カタログ。

 またりゅうこつ(竜骨)は船底の骨格をなす木の骨組み。

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5月:タランチュラ星雲の中心部。やはり南天のかじき座にある大マゼラン星雲のなかにあるタランチュラ星雲だ。分子雲と星団がなんとも微妙な光景を作っている。このような天体の微細で華やか姿を捉えることができるのも、宇宙に浮かぶ口径6.5メートルの望遠鏡JWSTならではスゴワザ。

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6月:天の川銀河のブックホールシャドー。2023年に公開された我々の天の川銀河の中心にあるブラックホールの(影響によってできた)画像。天の川銀河の中心には太陽の400万倍の質量のブラックホールがある。銀河の中心部可視光では見られないが、電波では見ることができる。そのため地球上の多くの電波望遠鏡(イベント・ホライゾン・テレスコープ、EHT)を駆使して、得られたデータを画像化したもの。

4年前の2019年位に、おとめ座のM87銀河のブラックホールの画像が公開されている。

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7月:土星の衛星の間欠泉。間欠泉は火山の近くなどで見られる、一定の時間ごとに吹き出す熱水。土星の衛星のひとつであるエンケラドゥスから吹き出す液体状の物質の姿を、土星探査機カッシーニが捉えた。探査機の名前になっているカッシーニは、イタリア出身のフランスの天文学者で、土星の衛星を4つ発見し、パリ天文台の台長ともなっている。

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8月:銀河団エイベル2744。エイベルカタログは1900年代後半にまとめられた、4000個余りの、密度の高い銀河団のカタログ。JWSTによるこの画像は、35億光年かなたにあり、多くの銀河や、重力レンズ効果によってゆがめられた、さらに遠くの銀河などが写っている。

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9月:太陽系外縁天体アロコス。探査機が撮影した、歴史上太陽から最も遠い天体。撮影したのは冥王星探査機ニューホライゾンズで、2015年、冥王星を撮影した後、さらに旅を続け2019年にアロコスをフライバイ通過した。雪だるまのような不思議な姿をしている。当時は「ウルティマ・トーレ」とも呼ばれたが。202311月、正式にアロコスと命名された。意味はアメリカ先住民ポウハタン族の言葉で「空」。

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10月:銀河NGC7496。みなみのうお座のさらに南のつる座にある棒渦巻銀河。現在、ほとんどの銀河の中心部には巨大なブラックホールがあるとみられているが、この銀河もその一つ。強い光を放つ中心部は、ブラックホールへ落ちる物質が解放したエネルギーによると考えられている。

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11月:銀河NGC143。南天のとけい座にある渦巻銀河。銀河の中でも極端に明るい中心核を持つ「セイファート銀河」に分類されている。この銀河の中心にも巨大ブラックホールがあるとみられている。4600万光年も彼方の銀河の、このような詳細な姿を見られるのもJWSTの成果といえよう。

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12月:木星の衛星イオ。木星の4つのガリレオ衛星のうちもっとも内側の衛星イオ。この画像は1995年に到達したNASAの木星探査機ガリレオによって撮影された。木星の巨大な潮汐力によって、内部は高温となり、いくつもの火山が硫黄などを噴出している。イオからイオウだ。

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