(4)クォークの重さの不思議

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フェルミ粒子は物質を構成する

 素粒子は大きく分けて、アインシュタイン・ボース統計に従うボース粒子(ボソン)と、フェルミ統計に従うフェルミ粒子(フェルミオン)とに大別されます。

 ボース粒子は、スピンが整数の粒子で、ひとつの量子状態にいくらでも重ね合わせることができます。力を伝える光子などはボース粒子です。

 一方スピンが半整数であるフェルミ粒子は、パウリの排他律(排他原理)によって、ひとつの量子状態にひとつの粒子しか入れません。

 物質を構成するのはこのフェルミ粒子です。排他律がなければ、どんな形も形成することができず、すべてがどろどろのスープのようになってしまうでしょう。机のパソコンに向かい、椅子に座って仕事ができるのは排他律のお陰です。いや人間はじめあらゆるものが形をもって、存在できるのはこの排他律があるためといってもいいでしょう。

 


不思議なクォークの質量    

 さて中性子や陽子また中間子などを構成するクォークは、バリオン(重粒子)と呼ばれます。同じフェルミ粒子でも、レプトン(軽粒子)と呼ばれる電子やニュートリノに比べて、圧倒的に重いからです。

 6種あるクォークのうち、アップクォークの質量は、電子の約5倍あります。そしてダウンクォークは、電子の約10倍です。

 陽子はアップクォーク2つとダウンクォーク1つでできています。中性子はアップクォーク1つとダウンクォーク2つでできています。

 陽子は、重さ(質量)が電子の1800倍ほどあります。ところが構成要素のアップのクォーク2つとダウンクォーク1つの重さを足し合わせても、電子の約20倍にしかならないのです!?

 同様に中性子は、陽子よりわずかに重いのですが、アップクォーク1つとダウンクォーク2つの重さを足し合わせても、電子の約25倍しかありません。

 いずれも、クォークを合計した重さは実際の重さより、なんと2ケタも小さくなってしまいます。これは一体どういうことでしょう?

 村山斉博士は、
 「クォークは、原子核の中を、ほぼ光のスピードで飛び回っているイメージ」といいます。
 
 原子核の中には、構成要素のクォークとは別の、未知のエネルギーが関わっていて、それが質量として現れているのかもしれません。
 なにせ質量とエネルギーは、同等だといわれますから。

 あるいは、アップクォークやダウンクォークの表示されている質量は、いわゆる静止質量で、グルーオンを介して、いくつかが結びついたとき、それまでとはまったくことなったアクティブな状態になっているのでしょうか。
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 それを確かめるには、また想像を絶する装置が必要なのかもしれません。

                      〔参考・理科年表、ニュートン誌ほか〕

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